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初花凛々
第26章 郷愁の想い
「凛。お風呂にでも入ってきたら」


キッチンにて、母親の手伝いをしていたら、そう声をかけられた。


「……一番風呂はお父さんって決まってたじゃん」


そう、凛の家では父親が一番風呂と決まっていた。


大地がどんなに泥にまみれて帰ってこようとも、凛が汗だくで帰ってこようとも。涼しい顔をした父親が一番風呂と決まっていたのだ。


時折、我慢し切れずに大地が無断で一番風呂に入ったこともあった。そんな時父は、仕方ないなと笑っていて。それを凛が真似したこともあったが、その時父は激怒した。


「……お父さんのあとでいい」

「入ってもいいのに」

「入らないってば!」


思わず強い口調になってしまった。凛はやはり、実家の空気は自分には合わない_____と思った。


_____凛のこと可愛いに決まってる


けれども、同時に思い出される麻耶の言葉が、凛を冷静にさせた。


「……ごめん。でも、私は一番最後でいいの。お母さんとこうして料理作るの初めてだし」


そんな凛の言葉に安心した母親は、ホッとしたように笑った。


「……凛もお嫁に行っちゃうんだもんね」

「へ?」


いきなり何を言い出すのかと、凛は目を丸くさせ母親を見た。


「だってなんだか、大人になったなぁと思って」

「どこが?全然だよ」


キスひとつで翻弄され、SEXさえも未経験で。麻耶に甘えてばかりの凛は、ちっとも大人になった気がしない。


「飯はまだか」

「あぁ、今出来るわよ」


こんな風に、凛の気持ちを乱すだけ乱しておきながら、何事もなかったように振る舞う父親に苛立つ。


そんなところも、ちっとも昔と変わっていないと凛は思った。

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