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初花凛々
第27章 小春日和
「……何も聞かないんだね……」


凛はポロっと、そんな言葉を口にする。


何かあったであろう一目瞭然の凛に、麻耶は何も聞かない。凛から言うまでは、と。


「俺、優男じゃね?」

「自分で言っちゃってるし」


凛はクスクスと笑った。まだ笑えている自分に安心する。


「……お父さんにね、初めて口答えしちゃった……」

「親子喧嘩か」

「ううん……。喧嘩って、お互いを理解したいがためにするものでしょ?わたしは違うの。決別する喧嘩を……」


_____お父さんなんか大っ嫌い!


そう言い放った直後、言わなければ良かったと凛は思った。


部屋を飛び出すほんの一瞬前に見えた父親の表情が、今までに見た事もないような顔だったから……


「……私は言ってはいけないことを言ってしまった」


凛の目からは涙が溢れた。


今日は雨に濡れながらたくさん泣いたのに。涙は枯れることを知らないのだ、と凛は不思議に思った。


「……まぁな、言った言葉は取り消せないよな」


麻耶はビールをごくりと飲みながら、呟く。


「傷つけるのも言葉だし。でも、癒せるのも言葉じゃね?」


麻耶は今、とても凛の心に響くことを簡単に口にした。けれども当の本人はそんなつもりもなく、ただ凛を見つめ、ビールを流し込む。


「生きてんだから、大丈夫。生きてるだけで丸儲けって言葉、あるだろ」


それは某有名お笑い芸人の言葉だ。凛も知っている。


「凛は良い子だよ。大丈夫。お父さんもみんなわかってる」


大丈夫だよという言葉が、凛はあまり好きではない。


なんだか無責任な気がするから。


けれども凛以上に様々なことを体験している麻耶。そして、凛のことを深く知っている麻耶に言われると、素直に心に響く。


安心した凛はまた、眠りに就いた。


朝日が昇ったら、もう一度向き合ってみようと思いながら_____


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