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初花凛々
第27章 小春日和
〜♪
耳に聞き覚えのないメロディが届き、凛は目を覚ました。
寝ぼけ眼を擦り、サイドテーブルに埋め込まれた電子時計に目をやると、時刻はAM6時。
そのメロディは麻耶の携帯電話だった。
「麻耶……、電話鳴ってる……」
隣に眠る麻耶を揺さぶるが、起きる気配がない。
そうしている間に、そのメロディはぷつりと途絶える。そして数分後に、再び鳴り出す。
「……うるせー」
麻耶がボソッと呟き、ようやく携帯電話に手を伸ばした。
「……はい、須田です……」
てっきり凛はアラームだと思っていたが、それは電話だったらしい。
_____もう!須田くん!電話くらいすぐ出なさいよ!
隣にいる凛にまで、麻耶の電話の向こうの声が響いてきた。声の主は、女性。凛はなぜかどきりとした。
「すんません……」
麻耶は寝ぼけながらも謝った。相手はやたら強気な口調の女性。一体麻耶のなんなのか、凛は気になった。
_____昨日は楽しい時間をどうもありがとう
電話の向こうの女性は、そう言った。
_____今までで須田くんは最高ランクよ。貴社ブランドの商品を、是非使わせて欲しいわ。
凛はそのセリフを聞き、とんでもない想像を巡らせた。
麻耶は電話を終え、目を見開いている凛の顔を見てフッと口角を上げ笑った。
「……変な想像してるだろ」
「え、いや、そんなこと!」
麻耶の言う通り、凛の頭の中には"枕営業"という言葉が浮かんでいた。
_____麻耶の身体で、女社長を……!
「違うから」
「いたっ」
麻耶はちっとも痛くないデコピンを凛にお見舞いした。
「昨日は、グループの代表に誘われて牡蠣小屋に付き合ったんだ」
「え……」
「あの、山盛りになってる牡蠣をひたすら食うっていう。俺牡蠣食えないのに」
「そうなの……」
「でも、向こうの要望だからさ。牡蠣を死ぬほど食べたいっていう。それで付き合っただけ。変な想像をされては困ります」
「ごめん……」
麻耶は真面目に仕事をしていたのに、私はなんてことを。
「ついでにその牡蠣小屋にまで商品アピールしてくれちゃって。お陰様で、二社ゲット」
麻耶はピースを作り、凛に見せてきた。凛の大好きな、子どものような笑顔と共に。
耳に聞き覚えのないメロディが届き、凛は目を覚ました。
寝ぼけ眼を擦り、サイドテーブルに埋め込まれた電子時計に目をやると、時刻はAM6時。
そのメロディは麻耶の携帯電話だった。
「麻耶……、電話鳴ってる……」
隣に眠る麻耶を揺さぶるが、起きる気配がない。
そうしている間に、そのメロディはぷつりと途絶える。そして数分後に、再び鳴り出す。
「……うるせー」
麻耶がボソッと呟き、ようやく携帯電話に手を伸ばした。
「……はい、須田です……」
てっきり凛はアラームだと思っていたが、それは電話だったらしい。
_____もう!須田くん!電話くらいすぐ出なさいよ!
隣にいる凛にまで、麻耶の電話の向こうの声が響いてきた。声の主は、女性。凛はなぜかどきりとした。
「すんません……」
麻耶は寝ぼけながらも謝った。相手はやたら強気な口調の女性。一体麻耶のなんなのか、凛は気になった。
_____昨日は楽しい時間をどうもありがとう
電話の向こうの女性は、そう言った。
_____今までで須田くんは最高ランクよ。貴社ブランドの商品を、是非使わせて欲しいわ。
凛はそのセリフを聞き、とんでもない想像を巡らせた。
麻耶は電話を終え、目を見開いている凛の顔を見てフッと口角を上げ笑った。
「……変な想像してるだろ」
「え、いや、そんなこと!」
麻耶の言う通り、凛の頭の中には"枕営業"という言葉が浮かんでいた。
_____麻耶の身体で、女社長を……!
「違うから」
「いたっ」
麻耶はちっとも痛くないデコピンを凛にお見舞いした。
「昨日は、グループの代表に誘われて牡蠣小屋に付き合ったんだ」
「え……」
「あの、山盛りになってる牡蠣をひたすら食うっていう。俺牡蠣食えないのに」
「そうなの……」
「でも、向こうの要望だからさ。牡蠣を死ぬほど食べたいっていう。それで付き合っただけ。変な想像をされては困ります」
「ごめん……」
麻耶は真面目に仕事をしていたのに、私はなんてことを。
「ついでにその牡蠣小屋にまで商品アピールしてくれちゃって。お陰様で、二社ゲット」
麻耶はピースを作り、凛に見せてきた。凛の大好きな、子どものような笑顔と共に。