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初花凛々
第27章 小春日和
凛は再び、家の前まで来た。今更どう足掻いても無駄なのだけれど、なかなかインターホンを鳴らせずにいる。


麻耶はそんな凛の手を取り、インターホンを鳴らした。


「ちょ!!」


動揺する凛。麻耶はやはり、そんな凛を見て笑っている。


「あら_____ !」


中から現れたのは母親。凛と父親のやり取りを知っているはずなのに、現れた凛と麻耶の姿に驚いていた。


「初めまして。凛さんとは友人として仲良くさせていただいております。須田麻耶と申します」


ちゃんと麻耶は設定通り、"友人"という事を強調した。そう言って麻耶は、いつそれを用意したのかわからないが、箱に入った菓子らしき物を差し出した。


「えっ、あぁ!はい!きゃー!おとうさーん!大地ー!」


母親は黄色い声を出し、バタバタと家の中に消えた。


「まっ、麻耶!?」

「ん?」

「それって演技!?」

「演技っていうか……、そりゃあ普段よりは気取るだろ」

「気取る!?ていうか今の箱はなに!?」

「箱菓子だけど。お宅訪問には欠かせなくない?」

「買う時間なんてあった!?」

「時間は作るもんだろ」

「か、かっこいい……!」


麻耶とそんなやり取りをしていたら、いつのまにか玄関には母親が戻ってきており、その後ろにはこれでもかと微笑んでいる大地がいた。


微笑んでるというよりは、ニヤニヤと、ズルい笑みにも見受けられる。


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