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初花凛々
第27章 小春日和
「あらあら、まあまあ!」
母親はさっきからそればっかりだ。凛が初めて男を連れてきたから、驚いている。
「これ、凛の好きな和菓子なんですよ」
と、母親が盆に載せ運んできたのは栗蒸し羊羹と、静岡産の緑茶。
この栗蒸し羊羹は凛の大好きな地元の和菓子屋さんのもので、これも自分のために用意してくれていたのだと知り、凛は胸が小さく痛んだ。
「ありがとうございます」
麻耶は丁寧に礼を言い、やはり凛は昔から和菓子が好きなのだと再確認した。隣にいる凛を見て、自分も凛から羊羹の美味しさを教えて貰ったということを思い出していた。
凛もまた、麻耶が以前羊羹を初めて食べた時に、美味しいと言っていたことを思い出していた。
凛と麻耶は友人として_____、ここにいる。
母親は凛のそんな姿を見て、驚きつつも喜んでいるようだった。
「麻耶くんは、凛と同僚ということは同い年なの?凛は今年で25になるんだけど___ 」
「いえ。僕は凛さんより2つ上になりますね」
凛は驚いた。麻耶が2つ歳上だということを、今初めて知った。
「そうだったの!?」
「え?」
「てっきり同い年なのかと!」
「言ってなかったっけ」
「聞いてない!」
麻耶は、高校卒業後専門学校に入学、その後就職。なので新卒で入社した凛と同じ時期に入社したのだと説明した。
「でも今更敬語とか使えないかも……」
「使わなくていいよ」
「ならそうする」
凛は会話に夢中になって、すっかり忘れていた。
凛と麻耶を取り囲む家族の存在を。
「……随分仲が良いんだな」
それまでまるで気配を消していた父親が、そう呟くまでは。
母親はさっきからそればっかりだ。凛が初めて男を連れてきたから、驚いている。
「これ、凛の好きな和菓子なんですよ」
と、母親が盆に載せ運んできたのは栗蒸し羊羹と、静岡産の緑茶。
この栗蒸し羊羹は凛の大好きな地元の和菓子屋さんのもので、これも自分のために用意してくれていたのだと知り、凛は胸が小さく痛んだ。
「ありがとうございます」
麻耶は丁寧に礼を言い、やはり凛は昔から和菓子が好きなのだと再確認した。隣にいる凛を見て、自分も凛から羊羹の美味しさを教えて貰ったということを思い出していた。
凛もまた、麻耶が以前羊羹を初めて食べた時に、美味しいと言っていたことを思い出していた。
凛と麻耶は友人として_____、ここにいる。
母親は凛のそんな姿を見て、驚きつつも喜んでいるようだった。
「麻耶くんは、凛と同僚ということは同い年なの?凛は今年で25になるんだけど___ 」
「いえ。僕は凛さんより2つ上になりますね」
凛は驚いた。麻耶が2つ歳上だということを、今初めて知った。
「そうだったの!?」
「え?」
「てっきり同い年なのかと!」
「言ってなかったっけ」
「聞いてない!」
麻耶は、高校卒業後専門学校に入学、その後就職。なので新卒で入社した凛と同じ時期に入社したのだと説明した。
「でも今更敬語とか使えないかも……」
「使わなくていいよ」
「ならそうする」
凛は会話に夢中になって、すっかり忘れていた。
凛と麻耶を取り囲む家族の存在を。
「……随分仲が良いんだな」
それまでまるで気配を消していた父親が、そう呟くまでは。