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初花凛々
第28章 萌し
「牡蠣に当てられましたね」
病院につき、診察を終え、開口一番医者がそう言った。
「牡蠣……」
「ええ。牡蠣を食べたと仰ってましたし、時間的にも症状的にもほぼ間違いないでしょう」
麻耶は点滴を受け、凛は医者の説明を聞いた。
_____本当は牡蠣食えないのに
麻耶がそう言っていたことも思い出し、仕事を取るためとはいえ、身体を張りすぎだと思った。
「このままでは脱水症状になって、大変になるところでしたよ。奥さんナイス判断です」
などと言われ、それは完全なる医者の勘違いだが凛は恥ずかしくもあり嬉しくもあった。
麻耶は点滴を受けながら眠ってしまったようで、凛が処置室に顔を出した時にはスースーと気持ちよさそうな寝息を立てていた。
「……もう。ビックリしたよ」
麻耶の寝顔を見て、凛は思わずひとりごちた。
「……よかった」
凛は麻耶の額に手を当て、髪を梳くように撫でた。
ふわりと、柔らかい髪が凛の指の間を通り抜ける。こうしてみると、麻耶の髪は別にわざと明るく染めているのではなくて。元々こんな色素の髪なのだとわかった。
麻耶の頭を撫でるのは、実は初めてだと思った。
いつも撫でられるばかりで、こうして凛が撫でてやることなんて無かった。
凛はなんだかとても温かい気持ちになり、麻耶がとんでもなく可愛い生き物に思えてきた。
これは"母性"というやつなのかも、と凛は思った。
病院につき、診察を終え、開口一番医者がそう言った。
「牡蠣……」
「ええ。牡蠣を食べたと仰ってましたし、時間的にも症状的にもほぼ間違いないでしょう」
麻耶は点滴を受け、凛は医者の説明を聞いた。
_____本当は牡蠣食えないのに
麻耶がそう言っていたことも思い出し、仕事を取るためとはいえ、身体を張りすぎだと思った。
「このままでは脱水症状になって、大変になるところでしたよ。奥さんナイス判断です」
などと言われ、それは完全なる医者の勘違いだが凛は恥ずかしくもあり嬉しくもあった。
麻耶は点滴を受けながら眠ってしまったようで、凛が処置室に顔を出した時にはスースーと気持ちよさそうな寝息を立てていた。
「……もう。ビックリしたよ」
麻耶の寝顔を見て、凛は思わずひとりごちた。
「……よかった」
凛は麻耶の額に手を当て、髪を梳くように撫でた。
ふわりと、柔らかい髪が凛の指の間を通り抜ける。こうしてみると、麻耶の髪は別にわざと明るく染めているのではなくて。元々こんな色素の髪なのだとわかった。
麻耶の頭を撫でるのは、実は初めてだと思った。
いつも撫でられるばかりで、こうして凛が撫でてやることなんて無かった。
凛はなんだかとても温かい気持ちになり、麻耶がとんでもなく可愛い生き物に思えてきた。
これは"母性"というやつなのかも、と凛は思った。