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初花凛々
第29章 山茶花咲いて
いつも主にその口付けを開始させるのは麻耶の方だったけれど、いざ口付けが始まると、凛は積極的に舌を絡め、麻耶の背中に腕を回し。昂ぶる欲求を持て余していた。


口付けだけでも充分気持ちが良いと思える。けれども、口付けが激しさを増すごとに、ひとつになりたい欲求にも駆られる。


凛は自らの気持ちに困惑し、それが更に悶々とした想いを加速させる。









その日も二人は、口付けを交わしていた。麻耶の部屋で。


前までは口付けをする時間というのは、主にベッドに横になった時や、まさしくSEXの練習の最中などと限られていたけれど。


先述した通り、今は二人の間にそんな縛りは無い。


凛は口付けの最中、ふと、先日行ったオナニーの事を思い出していた。


あの日から、凛は数日に渡り挑戦してみた。


が、やはり結果は同じ。


濡れ方も前の半分以下だし、それにちっとも気持ち良くない。


なのに今はどうだろう。


そんなのが嘘のように、麻耶の口付けにより凛は股をじゅわりと濡らした。


「!!」


その日、凛が履いていたのは以前麻耶が選んでくれた部屋着と同じブランドのもの。


膝丈ではなく、太腿丈のショートタイプだ。


凛は焦った。


まさかとは思うが、滲み出ているのではないかと不安になった。


前なら、どんなに濡れても気にならなかったが今はとても気になる。


なぜかというと、というか言うまでもないけれど、凛と麻耶は久しくその行為をしていないし、その話題に触れもしないので、いつしかタブーとして凛は捉えていた。


「……凛?」

「い、いや、なんでもない」


凛はそう言うが、なんでもないという様子ではない。明らかに慌てて、無意識に両膝をくっつけた。


「ひいっ!」


凛はギョッと驚いた。


麻耶はそんなタブーなんか軽がる飛び越えて、ショートパンツの隙間から、指を挿入してきたから。






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