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初花凛々
第29章 山茶花咲いて
「ごちそうさまでした。すげー美味かった」
麻耶は全て平らげて、皿は綺麗に空となった。
「いえいえ」
凛が後片付けをしていると、麻耶が隣に並んで、それを手伝った。
この日ばかりは、凛は時間をかけゆっくりと皿を洗いたかったのに。麻耶が予想外に手伝ったから、早く終わってしまった。
そうなるとこの時間の終わりが近づくようで、凛はなんだか寂しくなった。
「お茶淹れようか?」
どうにか時間を延ばしたくて、凛は必死になる。
そんな凛を知ってか知らずか、「いらないよ」と麻耶は言った。
_____いよいよする事がなくなった凛は、仕方なく帰り支度を始めた。
「……帰んの?」
麻耶は凛に問いかけながら、マフラーを巻く凛の手を掴んだ。
久しぶりに手が触れ合い、それだけで凛はなぜか、涙が出そうになった。
そしてこのシチュエーションは牡蠣事件のあの時と同じだなぁ、とも思った。
あの頃からもうすぐ2ヶ月経つ。
あの頃は終わりなんか、まだまだ先だと思っていたのに。
こんなにもあっけなく、静かに、終わりはやってきた。
麻耶は全て平らげて、皿は綺麗に空となった。
「いえいえ」
凛が後片付けをしていると、麻耶が隣に並んで、それを手伝った。
この日ばかりは、凛は時間をかけゆっくりと皿を洗いたかったのに。麻耶が予想外に手伝ったから、早く終わってしまった。
そうなるとこの時間の終わりが近づくようで、凛はなんだか寂しくなった。
「お茶淹れようか?」
どうにか時間を延ばしたくて、凛は必死になる。
そんな凛を知ってか知らずか、「いらないよ」と麻耶は言った。
_____いよいよする事がなくなった凛は、仕方なく帰り支度を始めた。
「……帰んの?」
麻耶は凛に問いかけながら、マフラーを巻く凛の手を掴んだ。
久しぶりに手が触れ合い、それだけで凛はなぜか、涙が出そうになった。
そしてこのシチュエーションは牡蠣事件のあの時と同じだなぁ、とも思った。
あの頃からもうすぐ2ヶ月経つ。
あの頃は終わりなんか、まだまだ先だと思っていたのに。
こんなにもあっけなく、静かに、終わりはやってきた。