この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初花凛々
第30章 愛の戯れ
翌朝、まだ薄暗い時間帯に凛は目が覚めた。
覚めたというよりも、ほぼ眠れなかったような気もするし、ずっと夢の中にいたような気もする。
ベッドに横になったまま、部屋の間接照明だけでぼんやりと照らされたリビングを眺めた。
_____森伊蔵。
昨日麻耶が、凛のために用意してくれた芋焼酎が目に入った。
高級品であるそれ。
凛は値段は元より、誕生日を知っていてくれたという事が嬉しかった。
12/27
昨日、凛は25になった。そして、女にもなった。
世間は年の瀬にせかせかと忙しい季節。それだけに、凛の誕生日は急ぎ足でいつも過ぎてゆく。
背中に感じるのは、大好きな人の温度。
こんなに幸せでいいのか、と思う反面、こんな幸せはきっと気のせいだと思う自分もいる。
二つの両極端な心がせめぎ合う。
もし、目が覚めて。麻耶が昨日のことを謝ってきたら、気にしてないよと言おうと凛は思った。
私がお願いしたことだから、と。
昨日は凛の誕生日だし、優しい麻耶のことだ。もしかしたら、凛の気持ちを無下にできないと思って、合わせてくれただけかもしれない。
それに、椿や、広報のあの子達とは明らかにタイプの違う凛。そんな凛を相手にするなんて、きっと麻耶は気を遣ったのだと、凛はそればかりを考えていた。
覚めたというよりも、ほぼ眠れなかったような気もするし、ずっと夢の中にいたような気もする。
ベッドに横になったまま、部屋の間接照明だけでぼんやりと照らされたリビングを眺めた。
_____森伊蔵。
昨日麻耶が、凛のために用意してくれた芋焼酎が目に入った。
高級品であるそれ。
凛は値段は元より、誕生日を知っていてくれたという事が嬉しかった。
12/27
昨日、凛は25になった。そして、女にもなった。
世間は年の瀬にせかせかと忙しい季節。それだけに、凛の誕生日は急ぎ足でいつも過ぎてゆく。
背中に感じるのは、大好きな人の温度。
こんなに幸せでいいのか、と思う反面、こんな幸せはきっと気のせいだと思う自分もいる。
二つの両極端な心がせめぎ合う。
もし、目が覚めて。麻耶が昨日のことを謝ってきたら、気にしてないよと言おうと凛は思った。
私がお願いしたことだから、と。
昨日は凛の誕生日だし、優しい麻耶のことだ。もしかしたら、凛の気持ちを無下にできないと思って、合わせてくれただけかもしれない。
それに、椿や、広報のあの子達とは明らかにタイプの違う凛。そんな凛を相手にするなんて、きっと麻耶は気を遣ったのだと、凛はそればかりを考えていた。