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初花凛々
第30章 愛の戯れ
_____まだ、油断しちゃダメ。


いつ現実を突きつけられてもいいように、凛は幸せに溺れないようにしなければ、と思った。


そんな覚悟をするのは何とも馬鹿らしいと思われるかも知れないけれど、それは凛が小さな頃から自然に身につけた、保身の術でもあった。


「どうぞ〜お召し上がりください」

「えっ?」


ぼんやりしていたら、麻耶がそう声をかけてきた。


「まだ服も着てないの」


そう言って、いつのまにか服を着た麻耶は、置物になっている凛のことを笑った。


「これ、麻耶作ったの!?」

「そう」


テーブルには、こんがりと焼かれたトーストと、コーヒー。ゆで卵に、ミニトマト。フルーツヨーグルトまで用意されていた。


急いで服を着て、麻耶のいるリビングへ行くと、テーブルに並んでいた。


「名古屋に出張行った時に必ず食べんの、モーニングってやつ」

「テレビで見たことある!」

「俺が作ったから、アレだけど。今度凛にも名古屋のやつ、食わせたい。凛と一緒だと、きっともっと美味い」


_____凛と一緒


何気なく放たれたその一言は、凛の心に巣食う闇を、いとも簡単に晴らして行く。


「麻耶、ありがとう」

「いえいえ」

「これもだけど……昨日のことも」


幸せに溺れるな、なんて、無理。


凛はそう思った。


麻耶はさっき、凛のことを可愛すぎてどうしようと言った。


その台詞を借りるならば、「麻耶のこと、好きすぎてどうしよう!」凛は、そう伝えた。


麻耶はどうであれ、凛はただただ、麻耶が好き。


その想いがまたも理性を飛び越え、口から溢れ出た。


「……俺も、同じだから」

「え?」

「だから……」


こんなに言いにくそうに、照れ臭そうに。


麻耶は凛に向けて、愛の言葉を囁いた。


俺も好きだと、君のことが好きだよ、と。






ベッドの上でもなく、ドライブ中でもなく。


起き抜けのこの状態で、ムードもなにもないけれど。


だからこそ、この状況で想いを伝えあえたことが、凛は嬉しかった。
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