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初花凛々
第4章 遣らずの雨
美味しいお酒と、焼き鳥と。


凛は幸せの溜息を漏らした。


すると、「へいらっしゃい!」と、威勢のいい声が再び店内に響いた。


と同時に、「須田」という男の声。


顔をあげると、凛が想いを寄せる男__西嶋がいた。


_____うそっ!西嶋さん!?


偶然の居合わせに凛は驚いた。


けれど、西嶋が続けて須田にかけた言葉は「遅くなってごめん」だった為、これは須田が仕組んだことなのか、とも悟った。


須田のことを徐々に見直していた凛だったが、これは嵌められたと思った。


「隣いい?」

「あっ、はい!」


須田の隣には椅子がなかった為、西嶋は凛の隣に座った。


それは端から見れば自然な流れだけれど、凛にとっては、目の前にいる須田の仕業な気がしてならない。


「おっ!いいもん飲んでんなぁ」


西嶋は、テーブルに置かれている村尾の瓶を見て言った。


「おまえも飲めば?」


須田に促されるが、西嶋はそれを断った。


「俺、実は芋ダメなんだよ」

「そーだったっけ」

「どっちかというとね。だから、俺なんかが高価なもの貰っても豚に真珠だから」


そう言って西嶋は、レモンサワーを注文した。


しばらくしてそれが運ばれてくると、三人で乾杯をした。


隣にいる西嶋からは、爽やかなレモンの香りがした。


凛は芋焼酎を飲んでいる自分が急に恥ずかしくなってしまった。

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