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初花凛々
第32章 例えるならば薔薇
優と新山と三人で談笑した。


「胡桃沢さんは、休暇の間なにしてた?」


そんな優の問いかけに、凛は言葉を詰まらせた。


凛はずっと、麻耶と過ごしていた。


それはまさしく寝ても覚めても、という表現がふさわしいほど、ずっと一緒に。


「えと……、料理したり、掃除したり。あ!あと昨日は_______ 」


麻耶が凛の大好きな親父テイストのお店に連れて行ってくれた、とは、言えない。


昨日あのあと、二人は例の焼き鳥屋へ出向いた。


「久しぶりに来た。やっぱ美味しいー!」


などと言いながら、種類豊富な中から凛は軟骨とねぎまばかりを好んで食べた。


その店には麻耶のキープしている村尾があったが、いつもいただいてばかりだと申し訳ないと凛は言い、赤兎馬を凛の名で入れた。


もちろんそれは、凛の大好きな芋。





そしてそのあとは。


「ここの上、予約してあるんだ。とか言うの?キーチラつかせてさ」

「ない。普通に帰るぞ」


高級ホテルの前を横切るとき、凛は冗談を言う。


ドラマの見過ぎだと、麻耶は凛のことを笑った。


けれど凛の部屋に戻ってからは、二人は再び熱く交わった。


先ほどの酒の影響もあるのか、触れられる前から凛の身体は火照っていた。


熟れたそこに、いきり勃つ麻耶のものが挿入されただけで、凛は軽く達してしまいそうなほどだった。


ぬちゅ、ぬちゅと、粘膜の擦り合う音が耳に届く。


凛はその繋がった部分から奏でられる音を聞きながら、腿の内側まで蜜を垂らした。


麻耶の背中には、凛の指跡がつくほどに激しく抱きしめあって。


唇が違和感を覚えるほどに、舐めて、吸った。










「胡桃沢さん?」

「あっ、はい!ごめん、聞いてなかった!!」


完全に自分の世界にいっていた凛。優と新山の話を全く聞いていなかった。


「このあと飲みに行かない?って話」

「へ?三人で?」

「もっと誘ってもいいし。何人かに声かけてみよっか」


凛は一瞬、麻耶を浮かべた。けれど以前優の口から聞いた麻耶の話が過ぎり、それはやめとこうと思った。
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