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初花凛々
第32章 例えるならば薔薇
「駅前の立ち飲み、予約しといたよ」
仕事も早々と終わり、会社のエントランスで優がそう言った。
「仕事が早いねえ」
「広報あと何人か来るけどいい?」
「あ、うん。人事もあとから数人来ます」
予約なんていつのまに?と、感心しつつ、凛は新山と優と共にその店へと向かった。
「凛」
「えっ」
その立ち飲み居酒屋に着くと、何故か麻耶の姿があった。
「なに、どしたの!?麻耶もまさか!?」
凛は麻耶と優の顔を交互に見た。
「いや。俺は営業のみんなと来てる」
居合わせたのは本当に偶然らしかった。
麻耶の方のテーブルには、いつものメンバーの西嶋、野村、そして小松の姿があった。
けれどどうせなら、と優が提案して、みんなで同じ卓を囲むこととなった。
以前麻耶も優のことを"エロメガネ"などと揶揄していたのを思い出して、隣同士はヤバイと思い、凛は麻耶と優の間に割って入った。
「おまえほんっとメガネ好きな」
「違うから!」
「俺もメガネかけよっかなー」
「え、見たい見たい!普段はコンタクトだもんね?寝るときとかいちいちめんどくさそう」
と会話したところで、凛はハッとする。
なぜ、凛が麻耶のコンタクト事情を知っているのかと。
周りが不思議そうな顔で凛を見ていたから。
「前に!麻耶が!給湯室でコンタクトを!!」
「……外したこと、あったっけ」
「あった!あった!」
本当はないけれど。凛は必死にその場を取り繕った。
「胡桃沢さんてやっぱおもしれー」
やはり小松はこの日も、凛のことを最高に面白いと笑った。
「……なに怒ってんの」
「怒ってねーし」
明らかに不機嫌になった麻耶のことが、凛は気になって気になって仕方がない。
コンタクトの一件から、皆にバレそうになって怒っているのかと、凛は不安だった。
と、そこへ。
「お待たせー」
という、声と共に。
____あ。
凛は心の中で呟いた。
広報の、花に例えるならば薔薇、の。
あの子が来たからだ。
仕事も早々と終わり、会社のエントランスで優がそう言った。
「仕事が早いねえ」
「広報あと何人か来るけどいい?」
「あ、うん。人事もあとから数人来ます」
予約なんていつのまに?と、感心しつつ、凛は新山と優と共にその店へと向かった。
「凛」
「えっ」
その立ち飲み居酒屋に着くと、何故か麻耶の姿があった。
「なに、どしたの!?麻耶もまさか!?」
凛は麻耶と優の顔を交互に見た。
「いや。俺は営業のみんなと来てる」
居合わせたのは本当に偶然らしかった。
麻耶の方のテーブルには、いつものメンバーの西嶋、野村、そして小松の姿があった。
けれどどうせなら、と優が提案して、みんなで同じ卓を囲むこととなった。
以前麻耶も優のことを"エロメガネ"などと揶揄していたのを思い出して、隣同士はヤバイと思い、凛は麻耶と優の間に割って入った。
「おまえほんっとメガネ好きな」
「違うから!」
「俺もメガネかけよっかなー」
「え、見たい見たい!普段はコンタクトだもんね?寝るときとかいちいちめんどくさそう」
と会話したところで、凛はハッとする。
なぜ、凛が麻耶のコンタクト事情を知っているのかと。
周りが不思議そうな顔で凛を見ていたから。
「前に!麻耶が!給湯室でコンタクトを!!」
「……外したこと、あったっけ」
「あった!あった!」
本当はないけれど。凛は必死にその場を取り繕った。
「胡桃沢さんてやっぱおもしれー」
やはり小松はこの日も、凛のことを最高に面白いと笑った。
「……なに怒ってんの」
「怒ってねーし」
明らかに不機嫌になった麻耶のことが、凛は気になって気になって仕方がない。
コンタクトの一件から、皆にバレそうになって怒っているのかと、凛は不安だった。
と、そこへ。
「お待たせー」
という、声と共に。
____あ。
凛は心の中で呟いた。
広報の、花に例えるならば薔薇、の。
あの子が来たからだ。