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初花凛々
第32章 例えるならば薔薇
「何飲んでるの?」


凛がホッケの開きを食べながら芋を嗜んでいると、薔薇の女性____、橘さくらが隣に座った。


一瞬、無意識に焦った。麻耶はちょうど西嶋に呼ばれ席を立ったところで、凛の隣にはいなかった。


それをいい事に、なのか。それとも偶然なのか。わからないがさくらはそのタイミングで、凛の隣にやって来た。


「えっと、伊佐美を……」

「なんのお酒?」

「芋焼酎です」


伝えると、さくらはふぅんと言い、その事にはさほど興味がないように見受けられた。


「私はね、カルーアミルクが好きなの」

「あ、そうなんですか。確か、コーヒー風味のお酒ですよね」


凛はカルーアは得意ではない。酒を覚えたての頃はカルーアミルクに手を出した事もあるが、甘だるくて、苦手だと思っていた。


けれど甘い花のような香りを身に纏うさくらには、イメージが合うな、と思った。


隣に座るさくらとは、以前麻耶を挟んで会話をしたぐらいしかない。共通の話題が思いつかずに、凛は少し困った。


さくらはそんな凛に、次々と思いつくままに話かける。


好きな食べ物はなに、とか。出身はどこ、とか。当たり障りのない会話が繰り広げられてゆく。


「……麻耶と付き合ってるの?」


かと思えばいきなり、さくらは聞いてきた。今までの中身のない会話は全て、この質問のためだったのかと凛は思った。


凛は持っていた芋焼酎の入ったグラスをおもむろにギュッと握りしめた。


「……付き合ってるかどうかは、正直わかりません」


別に麻耶からそれについて言われた訳でもないし、ましてや凛からも言っていない。


「でも、私、麻耶のことが好きです」


だけど麻耶は凛のことを好きだと言ったし。凛も麻耶のことが好き。二人は何度も、それだけは伝え合っている。


先ほどは誤魔化したが、酔いのせいもあるのだろう。凛は嘘偽りなく、自分の気持ちを述べた。


さくらが麻耶に好意を寄せていたのも知っていたし。今二人はどんな関係性なのかはわからないが、さくらには誤魔化してはいけない気がして、凛は正直に伝えた。


____あ。そういえばまだ連絡先交換してない。


ということをぼんやりと思い浮かべながら、凛はさくらの次の言葉を待った。
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