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初花凛々
第33章 茜さす
「もうっ、麻耶!ビックリした!」

「なにが?」

「ううん、なんでもない……」

「……痛くなかった?今日」


今日凛は初めて、後背位という体位でSEXをした。


いつもよりも深いところで麻耶を感じて、おなかの辺りまで挿入されているのではと思うくらいの刺激だった。


「痛くなかったよ」

「や、そんなわけない。マジでごめん」


完全に酔いからも、眠りからも覚めた麻耶はギュッと凛を抱きしめた。


「……痛くはなかったの、本当だよ。でも、いつもの麻耶じゃないみたいだった」


まだ片手で収まるくらいの回数しかSEXはしていない。


けれども今日の麻耶は、普段とは違った。


愛撫もなく、ひと思いにねじ込まれた麻耶のそれ。けれども凛は、濡れそぼっていた。



「……なんか求められてる、って感じのエッチだった」


そう、今日麻耶はとても荒々しく、夢中で凛を抱いた。


愛撫はなくとも、口付けの雨を受けながら。


普段はどんな時でも、余裕が垣間見えるのに。今日は……



「嬉しかった」


凛はそんな麻耶を見て、嬉しかった。


自分とのSEXで、こんなに夢中になってくれるなんて。そう思って、嬉しかったのだ。


「……ほらな」

「え?」

「凛といると、新発見が多いんだよ」

「どういうこと?」

「……色々だよ」


また、麻耶は面倒臭がって、はぐらかす。


「ねーってば。わかるように言って」

「嫌だ」

「言うまで擽る。こしょこしょこしょ」

「声だけじゃん」

「油断してると、こうしちゃいます」


凛は麻耶の脇腹に手を伸ばす。


と、その手を一瞬で抑えられる。


凛が攻めるはずだったのに、いとも簡単に形勢逆転。


麻耶は凛の手首に口付けをして、そして。


「やめてぇ」

「ここも弱いんだよねー」


擽って、転がって、笑って。


そうしているうちにいつも凛の中にあるちょっとの心配事なんて、どこかへ飛んで消えてゆく。
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