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初花凛々
第33章 茜さす
凛は立ち去る麻耶の背中をぼうっと見つめた。


「……須田さん、なんか、変わりましたね」

「え?」


凛の隣にいた新山が、ぽつりと呟いた。


「変わった?」

「はい。あんな風に笑った顔、久しぶりに見ました」


新山が言うには、今の麻耶はまるで昔の麻耶のようだと言う。


「あ、そっか。新山さんって麻耶と同郷なんだっけ?」


以前麻耶から聞いた情報。すると新山は、目を丸くさせて驚いた。


「知ってたんですか!?」

「え、うん」


何かまずいことでも言っただろうかと凛が不思議に思うほど、新山は焦っているように見えた。


「どこまで聞いてるんですか?」


そんな新山の言葉に今度は凛が焦る。


_____どこまでって、どういうこと?


いかにも麻耶と新山は、同郷としての知人以上の関係なのかと思わせるような口ぶり。


詳しく聞こうとしたところで、新山の顔が急に強張ったことに凛は気が付いた。


「胡桃沢さん」


と同時に声をかけられた。


_____営業部の、如月だ。
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