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初花凛々
第34章 時雨心地
同郷の三人の会話が面白くて、凛はずっと眺めていたい気分にもなった。
瀬名は地元静岡で勤めていたが、この度栄転として東京へと異動になったらしい。
「そっか、こっちに住むのか」
「そう、4月からね。今日は不動産屋巡りしてきた」
麻耶は友人との再会が嬉しくて、抑えきれない喜びが笑みとなって溢れていた。
せっかくだから、飲みに行こうかという話にもなったが、慣れない地で歩き回った瀬名はきっと疲れているだろうと思い、家で酒を嗜むことにした。
「俺ら買い出し行くから。留守番よろしく」
「りょーかい」
あ、と凛は思った。瀬名の受け答えの雰囲気が麻耶とよく似ていて、二人の仲の良さを垣間見た。
外へ出ると、冷たい冬の夜風が頬を撫でる。寒いはずなのに、凛はちっとも寒くなかった。
自然に繋がれている二人の手が、寒さなんか吹き飛ばすほどに温かいから。
凛と麻耶はコンビニへと入り、缶ビールをカゴへ入れる。
「お、これこれ。瀬名が好きなやつ」
そう言って麻耶が手にしたのはパッソアと呼ばれるリキュール。黒い瓶に、橙色や黄色など南国をイメージさせる模様が施されている。
「私飲んだことない」
「美味いよ。オレンジジュースとかで割ったり。凛ならグレープフルーツジュースとかのが良いかも。炭酸とかね」
「美味しそう」
パッソアと言われる酒と、ジーマ、スミノフ。麻耶はカラフルな瓶を次々とカゴへ入れて行く。
「こんなにちゃんぽんして平気なの?」
「混ぜこぜにするから悪酔いする訳じゃないからね。量さえ調整すれば」
「そーなの……」
いつも量を調整出来ない凛は、潰れる事が多い。今日は気をつけようと思った。
「あとはつまみだね。凛好きなの買っていいよ」
「えっ!いいの?」
「おやつは300円まで」
「はい先生」
冗談を言い合いながら、チーズ鱈や鮭とば、柿ピー。凛らしいチョイスだと麻耶は笑い、二人はコンビニをあとにした。
瀬名は地元静岡で勤めていたが、この度栄転として東京へと異動になったらしい。
「そっか、こっちに住むのか」
「そう、4月からね。今日は不動産屋巡りしてきた」
麻耶は友人との再会が嬉しくて、抑えきれない喜びが笑みとなって溢れていた。
せっかくだから、飲みに行こうかという話にもなったが、慣れない地で歩き回った瀬名はきっと疲れているだろうと思い、家で酒を嗜むことにした。
「俺ら買い出し行くから。留守番よろしく」
「りょーかい」
あ、と凛は思った。瀬名の受け答えの雰囲気が麻耶とよく似ていて、二人の仲の良さを垣間見た。
外へ出ると、冷たい冬の夜風が頬を撫でる。寒いはずなのに、凛はちっとも寒くなかった。
自然に繋がれている二人の手が、寒さなんか吹き飛ばすほどに温かいから。
凛と麻耶はコンビニへと入り、缶ビールをカゴへ入れる。
「お、これこれ。瀬名が好きなやつ」
そう言って麻耶が手にしたのはパッソアと呼ばれるリキュール。黒い瓶に、橙色や黄色など南国をイメージさせる模様が施されている。
「私飲んだことない」
「美味いよ。オレンジジュースとかで割ったり。凛ならグレープフルーツジュースとかのが良いかも。炭酸とかね」
「美味しそう」
パッソアと言われる酒と、ジーマ、スミノフ。麻耶はカラフルな瓶を次々とカゴへ入れて行く。
「こんなにちゃんぽんして平気なの?」
「混ぜこぜにするから悪酔いする訳じゃないからね。量さえ調整すれば」
「そーなの……」
いつも量を調整出来ない凛は、潰れる事が多い。今日は気をつけようと思った。
「あとはつまみだね。凛好きなの買っていいよ」
「えっ!いいの?」
「おやつは300円まで」
「はい先生」
冗談を言い合いながら、チーズ鱈や鮭とば、柿ピー。凛らしいチョイスだと麻耶は笑い、二人はコンビニをあとにした。