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初花凛々
第35章 月の色人
翌朝目を覚ますと、既に隣に麻耶はいなかった。


寝室のドアを開けると、ふわっとコーヒーの香りが凛の鼻を擽る。


リビングの方からは、話し声が聞こえる。


男の声。


麻耶と瀬名の声だ。








「あの子、良い子そうじゃん」


と、凛がリビングのドアに手をかけたところで、瀬名のそんな言葉が聞こえた。


「良い子だよ」

「いつもとタイプ違くね?」



などという会話から、もしかしてこれは自分のことかと、凛はドアにかけた手を引っ込めた。


「あぁ、でも」


そのあとに発せられた瀬名の言葉に_____


凛は、それまでの幸せが、足元からガタガタと崩れ落ちるような。


そんな感覚を初めて知ることとなる。







「麻耶の最初の彼女に、雰囲気似てるよな」
















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