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初花凛々
第36章 桜雪
その男性とは軽く挨拶を交わし、そこで別れた。


「凛!」


それとほぼ同時。今度こそ、麻耶の声がして。凛の前に現れた麻耶は息を切らしていた。


「麻耶。まだ時間あるのに走ってきたの?」


スーツ姿の麻耶。そういえば今日は、休日だけれどクライアントの打ち合わせから直行するねと話していたことを思い出した。


「誰だよあの男!」


まるで、凛の父親みたいなことを口走る麻耶に、凛は思わず笑ってしまった。そして麻耶も、自分が言われて嫌だった台詞をそのまま口走ってしまったことに驚く。


「ふふ。ただ落とし物拾ってくれただけ」

「落とし物?」

「ハンカチ落ちましたよって。それ私のじゃなかったんだけどね」

「それ!ただの話しかける口実だから!」

「そうなの?」

「そう!油断すんなって」

「してないもん。あ、麻耶もあんな風にナンパした事あるんだ?」

「ねぇよ!!」


少し声が大きくて、ムキになる麻耶が可笑しくて、凛は笑いが堪えきれない。


「なんかこう……首輪とか欲しい気分」


麻耶はぶつぶつと言いながら、凛と手を繋いで歩き出した。







「えっ……ここ!?」


着いたのは、高層ビル群の中でも、一際高いと言われる超高層ビル。


「エレベーターノンストップじゃん」


エレベーターは、1階から飛んで30階まで、1分足らずで運んでくれる。


扉が開き、目の前に広がる光景に凛は目を奪われた。


「うわぁ〜っ!」


まるで、子どもが目の前に素敵なオモチャを差し出された時のように。凛は目を輝かせて、眼下に広がる都会のネオンに見入った。


「窓が大きいね!綺麗だね!」

「清掃会社大変だろうな」


夢も何もない現実的な話をする麻耶だけれど、凛は楽しくてしょうがなかった。


「ねぇねぇ!泡盛がいっぱいある!」

「三昧って謳ってるだけのことはあるね」

「わ!豆腐よう!私これ好きなんだよう!」

「知らなかったYO」


あまりにもしょうもない会話が繰り広げられて、凛は爆笑してしまった。


「早速飲んでみるか」

「うん」


凛はワクワクしながら、初めての泡盛を口に含んだ。


「顔、顔。直してあげて」


初めての泡盛は、ワインに負けず劣らず、大人の味がした。


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