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初花凛々
第37章 雪消月

部屋を訪れたはいいが、相変わらず、何を言えばいいのか凛はわからずにいた。
こんなとき、もっと語彙があったらと悔やまれる。
「ごめんなさい……」
どれくらいの沈黙が続いただろう。新山がぽつりと呟く。
「ごめんって……?」
「こうして辞めるなんて、無責任なのはわかってます」
だったら、辞めないで。もっと一緒に頑張ろうよ。
そう言いたかったが、それもまた無責任な気がして、凛は言葉を飲み込んだ。
「……もう、決めちゃったの?」
そう問いかけるのが、精一杯。
そんな凛の問いかけに対し、新山は頷いた。
「なんの相談にも乗れなくて、ごめん」
本当に申し訳なかったと凛は思った。度重なる新山のミス。先輩として、防いであげることも、庇ってあげることも出来なかった。
「くるちゃん先輩……違うんです」
「え?」
「私……」
言いかけた途端、新山の瞳からは、大粒の涙が溢れ出した。
「瀬名さんが結婚するんです」
日本語なのに、頭に入ってこない。
瀬名さんが結婚する。
「だ、誰と」
凛は思わず、とんちんかんな質問をしてしまった。
すると新山は声を絞り出すように、「ずっとお付き合いをされていた方」だと言った。
「私ずっと、セカンドでいいって思ってましたけど。本当は一番になりかったんです」
凛は新山と瀬名の過去は知らない。
2人がどれほど強く惹かれあっているか、知らない。
けれども目の前にいる新山の憔悴しきった姿からそれは読み取れた。
仕事もなにもかも手につかなくなるほど
新山の全てを、瀬名が占めていたのだ、ということが。
こんなとき、もっと語彙があったらと悔やまれる。
「ごめんなさい……」
どれくらいの沈黙が続いただろう。新山がぽつりと呟く。
「ごめんって……?」
「こうして辞めるなんて、無責任なのはわかってます」
だったら、辞めないで。もっと一緒に頑張ろうよ。
そう言いたかったが、それもまた無責任な気がして、凛は言葉を飲み込んだ。
「……もう、決めちゃったの?」
そう問いかけるのが、精一杯。
そんな凛の問いかけに対し、新山は頷いた。
「なんの相談にも乗れなくて、ごめん」
本当に申し訳なかったと凛は思った。度重なる新山のミス。先輩として、防いであげることも、庇ってあげることも出来なかった。
「くるちゃん先輩……違うんです」
「え?」
「私……」
言いかけた途端、新山の瞳からは、大粒の涙が溢れ出した。
「瀬名さんが結婚するんです」
日本語なのに、頭に入ってこない。
瀬名さんが結婚する。
「だ、誰と」
凛は思わず、とんちんかんな質問をしてしまった。
すると新山は声を絞り出すように、「ずっとお付き合いをされていた方」だと言った。
「私ずっと、セカンドでいいって思ってましたけど。本当は一番になりかったんです」
凛は新山と瀬名の過去は知らない。
2人がどれほど強く惹かれあっているか、知らない。
けれども目の前にいる新山の憔悴しきった姿からそれは読み取れた。
仕事もなにもかも手につかなくなるほど
新山の全てを、瀬名が占めていたのだ、ということが。

