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初花凛々
第5章 夕凪
「胡桃沢……それ、塩だぞ?」

「ええっ!?きゃー!熱いっ!」


課長に言われるまで、コーヒーに塩を入れていた。


自分の分だけならまだいいが、営業部と人事部の全員分。


焦って、淹れたてのコーヒーを手に零してしまった。


ザーザーと水道水を手にかける。


「火傷にはこれが効くよ」


一連の流れを見ていた西嶋が、手を冷やす凛に軟膏を持ってきてくれた。


「ありがとうございます!…すみません、西嶋さん。さっき私が淹れたコーヒーしょっぱかったですよね…?」


すると西嶋は、あははと声をあげて笑った。


「みんな気付いてなかったよ。新しいブレンドのコーヒーかもね、なんて話してた」

「まさかですよ」

「…胡桃沢さんが淹れてくれたコーヒーが不味いわけない!ってさ、みんな」

「またまた」


冗談だとは思うが、凛の失敗をこうして優しくフォローする西嶋はやはり優しい。


_____やっぱり、好き。


西嶋の横顔を至近距離で眺め、凛は改めてそう思った。
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