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初花凛々
第40章 狂い咲き
「ぶはっ」


急にそんな声が聞こえた。それも、足元の方から。


「わっ!小松!さん!どこにいたんですか!?」

「ずっとここにいたけど。横になってただけで。つーかまた呼び捨て」

「してませんから!」


ここで寝ていたらしい小松に、凛はおろか、椿も全く気が付いていなかった。


「無駄だよ」

「へ?」

「胡桃沢さんに言ってない」

「あ、はい」


小松にそう言われ、凛は大人しくしていた。凛を制してから、小松は再び口を開く。椿へ向けて。


「俺、親切系男子だから言っとくけど」

「は?」

「だから、胡桃沢さんは黙ってて」

「はい」


この時、小松の眼鏡は光った。気がした。


「そんな嫌味も、こいつには通じないよ?残念ながら」


_____こいつとは、私のことかしら


凛は思いながら、大人しくしていた。


「いいよね?って、なんの事かわかってないって絶対」

「……そんなわけないじゃん。どんだけ鈍いのよ」

「いやそれが、そうなんだって」


小松は凛のことを馬鹿にしているのか。それとも庇ってくれているのか、わからない。


「でもさっき、不安な顔してたけど?」

「空気読むからね。不機嫌な奴がいたらそりゃあそんな顔もするさ。優しくて、人の気持ちに敏感で。自分よりも、周りを大切にする子なんだ」


凛は不覚にも、その言葉に感動を覚えた。


「……って須田が言ってた。胡桃沢さんだけは、守りたい的な……っていってえ!」


そこまで暴露すると、いつの間にか麻耶がすぐ後ろにいて。小松の頭をはたいた。


「気安く隣に座んなって」

「ほら見て。こんなにベタ惚れなんすよ〜」

「うっせー!」

「いたたた」


麻耶は小松に、技をかけて。ギャーギャーはしゃぎ始めた2人のことを、穏やかな気持ちで凛は眺めていた。


気付いたら椿は、その場からいなくなっていた。


ロフトで寝ていたらしい、田川の布団に潜り込んだ椿は、尻尾を巻いて逃げたという表現が似つかわしい。


麻耶に技をかけられている小松と目が合った。


今初めて凛は、小松に笑顔を向けたと思う。


麻耶の気持ちをコッソリと_____いや。堂々と教えてくれて。


陰でそんな風に言ってくれていたのかと。


凛は嬉しかった。





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