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初花凛々
第41章 恋蛍
しん、と静まった音がする。


無音とは、音がしないはずなのに。


感じる。


暗闇に目が慣れるのと同じで、耳もそうなのかもしれないと思いながら、凛は耳を澄ませる。


けれど何も聞こえない。無音の音だけが聞こえる。


凛はベッドに飛び込んでから、この態勢で横たわってしまったことに少し後悔した。


麻耶に背中を向けた格好になってしまったから。


だったら振り返って抱きつけばいいじゃないかと言われるかも知れないが、先ほどまでの無邪気さとは一変し、凛は素直に動けなくなってしまった。


と言うのも、凛がベッドに横になったと同時に、麻耶も同じくベッドに入った。ギシッと音を鳴らしながら。


この瞬間、凛は少なからず期待した。


SEXへの誘いを。


けれど、それは無く。凛は肩透かしを食らった。長時間の運転をしたせいと、酒のせいなのか。麻耶はそのまま、凛に触れることなく寝てしまった。


以前は、そう、身体を重ねるようになる前には、凛から誘うことがあった。というか毎回そうだった。


でも今は違う。


SEXへの道筋はいつも、麻耶が立ててくれていた。凛は避妊具さえ、用意したこともなければ、つけてと口にしたこともない。


だから凛は今更になって、自らSEXがしたいとは言えなくなっていた。誘い方がわからない。


凛と麻耶を乗せているこのシーツのように、ほんの数ヶ月前まで凛は真っ白だった。


_____今は、このシーツのように白くはない自分のことを麻耶は気付いているのかな。


そう凛は思う。


凛はもう、いくつも色を覚えた。


麻耶は様々な色を凛に教えてくれて、染めてくれた。


共に過ごす楽しい時間は、橙とか、黄とか。とにかく鮮やかで目新しくて、トロピカルな色ばかり。


キスがしたい、手を繋ぎたい。そんな時は桃色だし。


あの子になりたいだとか、嫉妬が入り混じる時は紅。


あとは……


_____最近ではちょっと、黒も覚えたかな


なんて思う。


独り占めしたくなる。少しだけ、誰かに対して嫌悪感を抱く時は……黒。


背中の方に麻耶の気配を感じる。それはほんのりと暖かくて。


_____麻耶から見た今の私は、何色に見えているの?



素敵な色だったらいいな。


そう思いながら、凛はそっと目を閉じた。
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