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初花凛々
第42章 桜色の川で
「ナンパされたんだって?」
昼休み。何を食べようか社食の前のディスプレイを眺めていたら、小松がやってきた。
「なんですかそれ?」
「またまた。あ、今日はB定にしよう」
小松は、あくまでもメニューを選ぶついでにその話題に触れてきた。
「もしかして、入社式でのことですか?」
「たぶん」
小松はB定食を手に、これまた自然に凛の隣に腰を下ろした。結局、凛も小松につられてB定にしてしまった。
本日、B定食はカツカレーとラーメンセット。
よく食うなぁという目つきで、小松はカレーを頬張る凛のことを見た。
「んでさっきの続きは」
小松もまた、ラーメンをかきこみながら。
「思い出そうとしても、全然誰かわからないんですよねぇ」
凛はあれから、彼が何者かを考えてみた。けれども全く思い浮かばない。
「浮気だ」
「はぁ?」
身のない話が繰り広げられてゆく中、そういえば今日は麻耶の姿を見てないなぁと思った。
式の時も、フロアでも。
「あぁ、須田は今日休み」
「出張ですか?でも予定表のボードには何か書いてあったっけ」
「風邪だって。今朝、一度会社に来てたけど。39度あるからって部長に帰されてた」
「知らなかった」
凛は急いで席を立つ。
「須田から連絡きてないの?」
「私、麻耶の連絡先知らないので」
そう、2人はいまだに交換していない。
小松は信じられない、という風な目で凛を見た。
しかし、凛と麻耶は携帯電話で繋がらなくとも、繋がっている。
連絡先を知らなくたって。
今まで不便だと感じたことはなかった。
けれど今日初めて、不便だと凛は思った。
昼休み。何を食べようか社食の前のディスプレイを眺めていたら、小松がやってきた。
「なんですかそれ?」
「またまた。あ、今日はB定にしよう」
小松は、あくまでもメニューを選ぶついでにその話題に触れてきた。
「もしかして、入社式でのことですか?」
「たぶん」
小松はB定食を手に、これまた自然に凛の隣に腰を下ろした。結局、凛も小松につられてB定にしてしまった。
本日、B定食はカツカレーとラーメンセット。
よく食うなぁという目つきで、小松はカレーを頬張る凛のことを見た。
「んでさっきの続きは」
小松もまた、ラーメンをかきこみながら。
「思い出そうとしても、全然誰かわからないんですよねぇ」
凛はあれから、彼が何者かを考えてみた。けれども全く思い浮かばない。
「浮気だ」
「はぁ?」
身のない話が繰り広げられてゆく中、そういえば今日は麻耶の姿を見てないなぁと思った。
式の時も、フロアでも。
「あぁ、須田は今日休み」
「出張ですか?でも予定表のボードには何か書いてあったっけ」
「風邪だって。今朝、一度会社に来てたけど。39度あるからって部長に帰されてた」
「知らなかった」
凛は急いで席を立つ。
「須田から連絡きてないの?」
「私、麻耶の連絡先知らないので」
そう、2人はいまだに交換していない。
小松は信じられない、という風な目で凛を見た。
しかし、凛と麻耶は携帯電話で繋がらなくとも、繋がっている。
連絡先を知らなくたって。
今まで不便だと感じたことはなかった。
けれど今日初めて、不便だと凛は思った。