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初花凛々
第42章 桜色の川で
「あなたは私にとって、ただの通過点ですよーって言われてる気がするから、嫌だ」


だからもう言うなと、釘をさされた。


「ふふ、うん。もう言わないね」


それもまた、凛は麻耶を気遣っての言葉だったのだけれど。


初めてのキスもSEXも、俺なんかでいいのかと言う麻耶を安心させる為の。


「……凛にとって、俺が初めてでも。俺は、凛を最後にしたいんだよ」


今、麻耶は、とても重要なことを言った。


けれども凛は_____


「……意味、わかってる?」


麻耶は思わず、確かめる。


「えっ、わかってるよ」

「じゃーもっかい。俺が言ったことをもう一度復唱して」


凛はまだ、ピンときていない。


目をきょとんと丸くさせているし、口はぽかんと開いているし。


「えっとー、麻耶は今までたくさんキスとかしてきた。他の女の人と……でも私は全てが初めて!」

「いや、そこはあんまり重要じゃない」

「えー?違う?」

「全然違う。あー、伝わってねー」


麻耶は頭痛がするようだと思いながら、うわーと悶えた。


「もっとわかりやすく言って」


この子には直球しかないのか、と。わかっていたじゃないかと、麻耶は自分自身可笑しくて堪らなくなった。


一度笑ってから、そして、凛の瞳を見つめる。


潤んだ瞳に見つめられて、凛は恥ずかしくて、ふと目を逸らした。


「はい、凛の負け」

「なにこれ、睨めっこですか」


クスクスと凛が笑う。


そして麻耶は、笑って油断した凛の手を強く引っ張って、引き寄せた。


すぐそばに、麻耶の顔があって。


凛は一気に顔が火照る。


凛の手を掴む麻耶の手は熱かった。


「……凛」

「はい」

「俺の最後の女になって」


そして、間髪与えずに麻耶の唇が、凛の唇に重なる。


熱い手と冷たい手が混ざり合う。


凛はそっと、目をつぶった。



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