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初花凛々
第45章 君影草〜鈴蘭

「あっ!ハート探さなきゃ!」
しんみりムードから一転。凛は鼻息も荒くフェンスから身を乗り出さんばかりに夜景にかじりついた。
麻耶も、仕方なく、というか。半ば諦めもありつつそれに従う。
「ハート、ハート。……ハート?見つけられない……」
「あれじゃん、目細めたり片目つぶったりしてみたら」
「ええ?それって意味あるのかなぁ」
「やらないよりはいいだろ」
とりあえず言われるがまま、目を細めたり、ウインクしたりしながら見たけれど。やはりハートは見つけられない。
けれど隣や後ろのカップルからは、見つけた!という声が聞こえてくる。
「簡単に見つかったー」
という右にいたカップルの方を、思わず凛は見てしまう。
「こえーよその目」
「だって、なんで私は見つけられないんだろう?」
山のてっぺんは寒い。湯上りの身体に、冷えた風が容赦なく突き刺さる。
それまで傍観していた麻耶は、遂にハート探しに参加することにした。
……すると。
「なんだ、本当にすぐわかったよ」
「えっ」
なぜ私には見えないのと、騒ぎ出す凛をなだめつつ、麻耶は種明かしをする。
「ハートって、ほんと、そのまんま」
「どういうこと?」
「字だよ。ハートの形じゃなくて、字」
それを聞き、凛はもう一度挑戦する。
「……あった」
「でしょ」
「あったよ!麻耶!」
「よかったね」
「うん!」
あまりに凛が嬉しそうに笑うから。
麻耶は、思わず。
「おにーさんたちラブラブぅ〜」
「邪魔しないの!」
そんな声が聞こえ、麻耶はパッと唇を離した。
しんみりムードから一転。凛は鼻息も荒くフェンスから身を乗り出さんばかりに夜景にかじりついた。
麻耶も、仕方なく、というか。半ば諦めもありつつそれに従う。
「ハート、ハート。……ハート?見つけられない……」
「あれじゃん、目細めたり片目つぶったりしてみたら」
「ええ?それって意味あるのかなぁ」
「やらないよりはいいだろ」
とりあえず言われるがまま、目を細めたり、ウインクしたりしながら見たけれど。やはりハートは見つけられない。
けれど隣や後ろのカップルからは、見つけた!という声が聞こえてくる。
「簡単に見つかったー」
という右にいたカップルの方を、思わず凛は見てしまう。
「こえーよその目」
「だって、なんで私は見つけられないんだろう?」
山のてっぺんは寒い。湯上りの身体に、冷えた風が容赦なく突き刺さる。
それまで傍観していた麻耶は、遂にハート探しに参加することにした。
……すると。
「なんだ、本当にすぐわかったよ」
「えっ」
なぜ私には見えないのと、騒ぎ出す凛をなだめつつ、麻耶は種明かしをする。
「ハートって、ほんと、そのまんま」
「どういうこと?」
「字だよ。ハートの形じゃなくて、字」
それを聞き、凛はもう一度挑戦する。
「……あった」
「でしょ」
「あったよ!麻耶!」
「よかったね」
「うん!」
あまりに凛が嬉しそうに笑うから。
麻耶は、思わず。
「おにーさんたちラブラブぅ〜」
「邪魔しないの!」
そんな声が聞こえ、麻耶はパッと唇を離した。

