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初花凛々
第45章 君影草〜鈴蘭
凛達がビアホールで飲んだ地ビールもウインナーも、市販されているという旨が記された広告がレジスター横の壁に貼られていた。


「私これ絶対買って帰る」

「絶対か」

「絶対」


意気込む凛を見て、またも麻耶は笑いながら、2人はビアホールを出た。


時刻は23時を回るところ。


先ほど来るときは人も多かったが、この時間になるとまばらになっている。


凛と麻耶は手を繋いで石畳の歩道を歩く。


耳を澄まさなくとも届く潮騒。


どこまでも続くような夜の海。


鼻をくすぐる潮の香りは、また泣きたくなるほど鮮明に凛の身体に刻まれるようだった。














「って、やだー!きゃー!」


先ほどのムード満点の雰囲気と一変し凛は騒いだ。


「いいじゃん」

「ダメ!!」


2人が何をそんなに騒いでいるのかというと。


「今更恥ずかしがらなくても」


そう、一緒に客室露天風呂に入るかどうか。


「前コテージで入ったから平気でしょ」

「だってあの時は暗かったし!」


ならば電気を消せばいいじゃないかと麻耶が提案しても、凛は首を縦に振らない。


「なんで」

「なんでも!」

「理由、言え」

「無理っす!無理。無理、うひゃひゃ〜」


また、擽りの刑に処されて。


凛は早々と暴露する。
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