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初花凛々
第45章 君影草〜鈴蘭
凛は緊張しながら、麻耶のことをジッと見つめていた。


_____麻耶はどんな風に思っているの?


「……まだ、挨拶もしてないのに、妊娠はまだ早いって思う」

「……挨拶?」

「凛のご家族に」


その言葉を聞き、凛は結婚というものが急に現実味を帯びたような気がした。


「凛」


麻耶が真面目な眼差しを凛に向けるから、凛は更に緊張して、「はい」と真面目に返事をした。


「凛の実家に、挨拶に行こうって思ってるんだけど、いつがいいかな」


結婚


それは本人同士の意思はもちろんのこと、互いの家族も関係してくる。


赤の他人同士だった二つの家庭が、これからは。



〜♪


ようやく語り出した空気を壊すように鳴り出した携帯電話。


それは麻耶のものだった。


「……うわ」


携帯電話を見て、麻耶はあからさまに不満の声を漏らした。


その顔を見て、まさか電話をかけてきているのは椿かと、凛は無意識に思った。


「……桜庭」

「えっ?」


電話をかけてきたのは、椿ではなく桜庭。


凛に一目惚れをしたと堂々と言ってきた、桜庭からだった。






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