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初花凛々
第6章 恋水
その日は初めて、凛の部屋ではなく須田の部屋で手料理を振る舞った。
「わぁ凄い。調味料がこんなにたくさん」
須田の部屋のキッチンには、ナツメグやシナモン。ローリエなどの香味料はもとより、ドレッシング類も数多くあった。
それを見て凛は、きっと須田には、この数だけ彼女がいるんだ……とコッソリ思った。
「何が食べたいの?」
「なんでもいい」
と、須田はシェフを困らせるメニューをオーダーした。
「冷蔵庫開けるよ、いい?」
「どうぞ」
お伺いを立ててから冷蔵庫を失敬すると、中は綺麗に整理整頓されていた。それを見て、またも凛は須田の女の存在というものをヒシヒシと感じていた。
「いい匂いがする」
今晩のメニューはもつ鍋。
半端な量のお野菜と、冷凍庫にモツが忘れ去られていたのでそれを使って。
「はい、ニラ切る係は須田くんね」
「えー」
「もしかして包丁使ったことない?」
「馬鹿にすんなし」
凛に煽られ、須田はまな板と包丁を取り出した。
凛は煽っておきながらも、須田の危なっかしい手つきにハラハラした。
「猫の手にすればいいよ」
「どう?」
「左手をね、こうやって……」
くるちゃんのの3分クッキングだ、と言い、須田は面白そうに笑った。
「出来たー!」
「うまそー」
ニラは無事に須田の手により切られた。長さはバラバラ、手で握りすぎたせいでまるで雑草のような見た目になってしまったが、きっと味には問題ない。
「お茶碗とか余分にある?」
「ないかも」
食器棚には、また様々な女の存在がアピールされていた。
花柄やキャラクターが描かれたものまで、たくさんあった。
しかし須田はそれを凛には使わせなかった。
「今度くるちゃんの分買っておくから。今日はこれ使って」
そう言って、差し出されたのは男物のお茶碗。
こんな風に女の物が増えるのかと、凛はひとつ謎が解けたような気がした。
「わぁ凄い。調味料がこんなにたくさん」
須田の部屋のキッチンには、ナツメグやシナモン。ローリエなどの香味料はもとより、ドレッシング類も数多くあった。
それを見て凛は、きっと須田には、この数だけ彼女がいるんだ……とコッソリ思った。
「何が食べたいの?」
「なんでもいい」
と、須田はシェフを困らせるメニューをオーダーした。
「冷蔵庫開けるよ、いい?」
「どうぞ」
お伺いを立ててから冷蔵庫を失敬すると、中は綺麗に整理整頓されていた。それを見て、またも凛は須田の女の存在というものをヒシヒシと感じていた。
「いい匂いがする」
今晩のメニューはもつ鍋。
半端な量のお野菜と、冷凍庫にモツが忘れ去られていたのでそれを使って。
「はい、ニラ切る係は須田くんね」
「えー」
「もしかして包丁使ったことない?」
「馬鹿にすんなし」
凛に煽られ、須田はまな板と包丁を取り出した。
凛は煽っておきながらも、須田の危なっかしい手つきにハラハラした。
「猫の手にすればいいよ」
「どう?」
「左手をね、こうやって……」
くるちゃんのの3分クッキングだ、と言い、須田は面白そうに笑った。
「出来たー!」
「うまそー」
ニラは無事に須田の手により切られた。長さはバラバラ、手で握りすぎたせいでまるで雑草のような見た目になってしまったが、きっと味には問題ない。
「お茶碗とか余分にある?」
「ないかも」
食器棚には、また様々な女の存在がアピールされていた。
花柄やキャラクターが描かれたものまで、たくさんあった。
しかし須田はそれを凛には使わせなかった。
「今度くるちゃんの分買っておくから。今日はこれ使って」
そう言って、差し出されたのは男物のお茶碗。
こんな風に女の物が増えるのかと、凛はひとつ謎が解けたような気がした。