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初花凛々
第6章 恋水
もつ鍋をおなかいっぱい食べて、後片付けも終わったのはそれから1時間後のこと。


「須田くん、お願いがあるの」

「なに?」

「これからドラマが入るんだけど、ここで見ていったらダメ?」

「いいよ」

「ありがとう!」


凛は毎週欠かさず見ているドラマがあった。


それはなんてことない恋愛もの。


同窓会で再会した二人が、恋に落ちる設定だ。


「須田くんもこれ見てる?」

「見たことない」

「面白いんだよ、すっごく!」


須田は、恋愛ドラマになんてまるで興味がなかったけれど。凛に促され、見ることにした。


このドラマは大人の純愛をテーマに描かれているが、徐々に盛り上がる男女は、次第に唇や身体を求め合うようになってゆく。


「う、あ、きゃああ!」

「黙って見とけよ」


キスシーンで動揺する凛のことを、須田は笑った。


"あっ、あん、きて……!"


詳しくは描かれていないが、ベッドシーンが流れると、凛の喉はゴクリと鳴った。


ドラマの中で、男女は布団の中、裸で抱き合い口づけを交わした。


ベッドシーンが終わる頃、凛は自分の手のひらが汗をかくほど、ぎゅっと強く握りしめていた。
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