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初花凛々
第8章 青嵐
「くるちゃんってば」


みのむしソフトクリームになってしまった凛に、須田は優しい声で話しかけた。


「大丈夫だから」


_____なにが大丈夫なのか。


そう思ったが、こんな時の須田に凛は逆らうことが出来ない。それは何故なのか、凛自身にもわからないけれど。


ギュッと握りしめていた手を緩め、凛はバスタオルを解いた。


「……よく似合ってるよ。チョコミントの水着」


_____可愛いよ、すごく_____


須田は、凛の耳元でそう呟いた。


その、恋人のような仕草に。凛の鼓動は、少しばかり速くなる。


















「気持ちい〜」


一度プールへ入ると、さっきまでの不安はどこへやら。元から身体を動かすことが大好きな凛は、今年初の水遊びに心躍らせる。


波の出るプールをたんまりと楽しみ、気づけば時刻はお昼時。


「くるちゃんそろそろお昼にしよっか」


そんな須田の提案に、凛のおなかはグウと音を立て返事をした。


「何食べたい?」

「色々あって迷う〜!」


食事の出店は、ハンバーガーから串焼きまで、幅広いメニューを展開していた。


見た目から可愛いクレープや、片手で持ち気楽に食べられるホットドッグもあったが。凛が迷いに迷い決めたのは、ボリューム満点豚カツ丼。


「おいし〜」


プールでたくさん遊んで、美味しいご飯をたらふく食べる。凛は今日も惜しみなく笑顔を発揮した。









「すいません、お一人ですか?」


凛がトイレに行き戻ると、プールサイドにいる須田に話しかける一人の女性。


後ろ姿でわかるほどの、ナイスバディなその女性。


____これは噂で聞く、逆ナンというやつだ。


凛はそう思って、二人の動向を見守っていた。


須田はやはり、女性の目を惹くらしい。


須田と打ち解けてからはすっかり忘れていたが、元々社内でも女性人気が高いということを、その光景を見ながら凛は思い出していた。















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