この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初花凛々
第8章 青嵐
「……彼女と来てるから」


凛の聞き間違いでなければ、須田はその女性にそう告げた。


____彼女


自分とは無関係のその言葉に、凛は呆気にとられた。


誘いを断るための文句だとわかっていても。この胸の動悸は。


「凛!」


須田は続けて、その名を呼んだ。






須田に声をかけた女性は、ご丁寧に下から上まで、舐め回すように凛を見た。


____あんたが彼女?


____私の方が、いい女


そう言わんばかりの目線で。





「あっち行こ」


須田は凛の手を引き、その場から離れた。


____男の人と手を繋いだのは、これで3回目____


繋がれた手を見て、凛はそんなことを思った。









「ねぇ……あの人まだこっち見てるよ……」


いくらか離れた場所から、先ほど須田に声をかけた女性が凛達のことを遠目に眺めていた。


その女性はグループで来ていたらしく、数人でこちらを見ている。


「なんだあの女って言われてるよ絶対……」

「そんなこと言うわけないじゃん」

「ううん……」


凛は知っていた。


学校で、部活で、会社で。凛の陰口を叩く存在がいるということ。


____経験も何もない私のことを、きっと馬鹿にしている____


一度心に住み着いた疑心はなかなか晴れない。凛は俯いてしまった。


そんな凛の心中を悟った須田は、更に強く、凛の手を握った。


「ちょっと休憩しよ。おなかも休めなくちゃ」


そう言って、プールサイドの椅子に座るよう凛を促した。


凛も黙ってそれに従う____はずだったが。


「えっ、ちょっ!」


凛は動揺した。


「おとなしくしとけ」

「は、はい……」


須田は先ず自分が椅子に座り、その脚の間に収まるよう、凛を座らせた。


後ろからおなかに回された須田の腕。


明らかに自分のものとは造りからして違うその男の手を見て、凛の心臓はバクバクと音を立てた。
/452ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ