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初花凛々
第9章 金魚草
凛の問いかけに、椎葉はパアッと顔を輝かせた。
「気に入っていただけましたか!?」
実はその金魚鉢、椎葉が初めて手がけた菓子らしい。
「はい。見た目も涼しげで、舌触りも……」
凛が感想を述べ終える前に、椎葉は金魚鉢を数個、凛に押し付けてきた。
「これ、差し上げます!」
「ええ、こんなに!?」
「はい!!」
椎葉は凛に褒められて、よっぽど嬉しかったのだろう。金魚鉢を数個、凛に手渡した。サービスだと、一言付け加えて。
_____麻耶、喜ぶかな?
凛の頭には、羊羹を初めて食べたと言う麻耶の顔が浮かんでいた。
凛は金魚鉢が入れられた袋を大切に抱きかかえて、勿忘草をあとにした。
「凛」
勿忘草からの帰り道、アパートの近くで麻耶と会った。
_____あ、二人きりのときは凛なんだ……
この時も、やはり凛は子宮の上辺りに痛みが走った。
「凛さぁ、会社での俺の呼び方おかしくない?」
「え?」
身に覚えのない指摘をされ、凛は頭をひねった。
「マスダって誰やねん」
「マスダ?」
「まっ……すだくん!って呼ぶじゃん」
麻耶は思い出しケラケラと笑った。
そう、凛は今日、麻耶のことをマスダと呼んだ。
「麻耶って言いかけて、やめたでしょ?」
「……だって」
_____麻耶が名前で呼んでくれないのに、私だけ呼ぶのも可笑しいじゃない。
凛はそう思い、麻耶と言いかけて、須田と言い直していた。
「マスダってよ〜」
「もう、笑いすぎ」
「おかし〜」
涙を流しそうなほど、麻耶は笑った。
笑っていたら、あっという間に凛のアパートへ到着した。
「気に入っていただけましたか!?」
実はその金魚鉢、椎葉が初めて手がけた菓子らしい。
「はい。見た目も涼しげで、舌触りも……」
凛が感想を述べ終える前に、椎葉は金魚鉢を数個、凛に押し付けてきた。
「これ、差し上げます!」
「ええ、こんなに!?」
「はい!!」
椎葉は凛に褒められて、よっぽど嬉しかったのだろう。金魚鉢を数個、凛に手渡した。サービスだと、一言付け加えて。
_____麻耶、喜ぶかな?
凛の頭には、羊羹を初めて食べたと言う麻耶の顔が浮かんでいた。
凛は金魚鉢が入れられた袋を大切に抱きかかえて、勿忘草をあとにした。
「凛」
勿忘草からの帰り道、アパートの近くで麻耶と会った。
_____あ、二人きりのときは凛なんだ……
この時も、やはり凛は子宮の上辺りに痛みが走った。
「凛さぁ、会社での俺の呼び方おかしくない?」
「え?」
身に覚えのない指摘をされ、凛は頭をひねった。
「マスダって誰やねん」
「マスダ?」
「まっ……すだくん!って呼ぶじゃん」
麻耶は思い出しケラケラと笑った。
そう、凛は今日、麻耶のことをマスダと呼んだ。
「麻耶って言いかけて、やめたでしょ?」
「……だって」
_____麻耶が名前で呼んでくれないのに、私だけ呼ぶのも可笑しいじゃない。
凛はそう思い、麻耶と言いかけて、須田と言い直していた。
「マスダってよ〜」
「もう、笑いすぎ」
「おかし〜」
涙を流しそうなほど、麻耶は笑った。
笑っていたら、あっという間に凛のアパートへ到着した。