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初花凛々
第9章 金魚草
「……今の人ね、高校時代の同級生なの」


麻耶に聞かれる前に、凛は自ら説明を始めた。恋人に間違われたよと、笑いながら。


「それでね、同じ陸上部だったんだぁ」


深くは聞いてこないであろう麻耶に、凛はそう続けた。別に、それを麻耶に伝える意味はないと思うけれど、凛は言った。


「……そっか」

「うん。クラスも3年間同じだったの、それで」

「…それで、凛は彼に気持ちを伝えたりはしなかったの?」


_____やっぱり。


凛は思った。


やっぱり麻耶には、いつでも、なんでも。すべてお見通しなのだ、と。



「……どうしてそう思うの?」

「凛の表情と声かな」


凛はギクリとした。高校時代、ずっと好きだった彼のこと。もしかして麻耶にバレたように、圭吾にもバレているのか、と不安になった。


圭吾は、凛の親友の雫の恋人。その付き合いはもう、五年以上も前から始まっている。


圭吾への気持ちは、凛の中でとっくに整理はついている。それは圭吾が雫を好きだと気付いた時に、その気持ちは手離したから。


「……ううん、違うよ。だって彼は雫の…私の親友の恋人だから」


凛は否定した。麻耶は、そんな凛の手を取り、「俺の勘違いだったね」と言った。

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