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初花凛々
第9章 金魚草
_____圭吾って凛に気がありそうじゃない?


クラスメイトにそう言われることも少なくない。凛はそのうちに、もしかしたらと期待をし始める。


けれど奥手な凛は、アピールする事なんてほとんど出来ない。どんなに心を開こうとも、決して自分から話しかけたりはしない。


_____私みたいな面白くない子と話しても、つまらないよ。



父親から一切の愛情を受けてこなかった凛は、自分はつまらない存在なのだと思っていた。






そんなある日、圭吾が凛にとんでもない誘いをかけてきた。


「今日、一緒に帰らない?」


好きな男の子に、誘われるだなんて。そんな素敵な出来事、凛は今までの人生で初めてだった。


奥手で卑屈な凛だけれど、この時ばかりは舞い上がってしまった。


_____もしかして、私のこと_____


そんな淡い期待を胸に、凛は圭吾の待つ正面玄関へと向かった。
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