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初花凛々
第11章 夏めく
凛は、夏の熱帯夜のような暑さに襲われ目を覚ました。


目を開けると、辺りは暗く、目が慣れるまでに時間がかかる。


「えっ」


目が慣れて、その光景に凛は驚く。


凛はベッドにいた。


そして隣には、麻耶が凛に寄り添うように眠っていたから。


「麻耶!?」


思わず大きな声で、隣に眠る麻耶を起こす。


「……凛、起きたの?」

「う、うん。起きたというか……」


凛はいつ眠ったのかも、なぜここにいるのかもわからない。いきなり置かれた状況にただオロオロするばかりで。


「なんで麻耶服着てないの!?」


凛は驚いた。身体を起こした麻耶は服を着ていなかったから_____


男の人の裸なんて、学生時代のプールの授業以来見ていない凛は直視出来ずに目をそらす。


「それはお互い様でしょ」


麻耶はククッと笑った。


え、と思い凛は自分の身体を見る。


「ひぃー!」


凛は更に驚愕した。凛自身もまた、麻耶と同様衣服を身に纏っていなかったから_____


凛はタオルケットを急いで手繰り寄せ、プールの時のようにミノムシになった。


「……そんな焦らなくても。下着はつけてるじゃん」

「そうだけど……でも!」

「言っとくけど、凛は自分で脱いだんだから。暑い暑いって言いながら」


凛は思い返す。けれど全く思い出せない。


「……凛が言ったんだよ」

「え……?」

「コンプレックス破ってって、凛が」


_____嘘。あれは夢だとばかり思っていたのに。


「凛」


麻耶に名を呼ばれ、凛はまたしても目をそらし俯向く。


麻耶はそんな凛の頬に手を添えて、グッと顔を上げさせた。


至近距離で、そっと呟く。


「本当に覚えてない?」


何度思い返してみても、新山とお酒を飲んでいた所までしか覚えていない。


_____私のコンプレックスを破ってよ


もしかして、と凛は青ざめた。


_____まさか、まさか


知らないうちにしてしまったのか、と。処女のくせに、なんてはしたない。


別に大切にとっておいた訳ではない。むしろ、早く捨てたかったのに、記憶にすらないなんて。


凛は恥ずかしくて、情けなくて。


瞬きをひとつでもしたら、涙が溢れそうなほどに悲しくなった。
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