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初花凛々
第11章 夏めく
凛の潤んだ瞳。


それを間近で見た麻耶は、思わずゴクリと息を飲んだ。


「……激しかった」

「え……?」

「いつもの凛じゃないみたいだった」


_____激しい、だなんて。


凛はあまりの恥ずかしさに、麻耶の視線から逃れるようにフイと横を向いた。けれど、それを許さないと言わんばかりに、麻耶は凛の頬に添えられた手に力を込める。


「やだ……っ」

「嫌?」

「全然覚えてないんだもん……」

「覚えてないことが嫌なの?」

「うん……。せっかくの初体験を覚えていないだなんて」


それを聞いた麻耶は、思わず噴き出して笑う。なにが面白いのか、サッパリわからない凛は目を丸くさせる。


「俺ら何もしてないよ」

「へ?」

「凛、めちゃくちゃ酔っ払ってたし。そんな状態の凛を襲うほど俺鬼畜じゃない、つもり。それによく見てよ。下履いてるし。もしヤッてたら凛の身体も痛むはずだよ」


そう言って麻耶は、優しい笑みを凛に向けた。


言われて気づく。確かに下は履いている。それに麻耶が言うように、初体験ならではの痛みも感じない。


初エッチの時の痛みは壮絶だと、凛の周りの友人たちが言っていたことも、凛は同時に思い出した。


「わたあめから連絡もらって、迎えに行ったんだよ。そうしたらヘロヘロになった凛がいて。いつもは酒飲んでもそんなに変わらないのに、昨日は大声で笑ったり……激しかったよ」


「わ……、新山さんと麻耶って知り合いなの?」


以前もこの質問はしたなと思いながら、凛は問いかけた。


「知り合いって、同じフロアじゃん」

「そうだけど……連絡先知ってるってことはそれなりの知り合いなのかと……」

「そこは気にしないでいいよ」


と、麻耶は最も気になる部分をはぐらかした。


「今日はもう帰れないだろうから、このまま寝てっていいよ」


そういえば、と凛は辺りを見渡した。ここは麻耶の部屋だということに、今更気がついた。


「ベッド使ってもいいよ」


そう言って麻耶は、床にゴロンと横になった。それを見ていた凛は、思わず口走る。


「麻耶も……こっちで寝て」


その言葉を聞いて、麻耶はとても驚き目を丸くさせた。凛もまた、自分の言葉に驚いた。




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