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妖精王は軍人に奪われる
第2章 冷たい瞳
「…おい、お前」
悲鳴と人が倒れる音が交差する中、
アイリスは前方で発せられた声に耳を傾けた
(ーー…?)
しかし、返答はいつまでたっても聞こえない
アイリスは自分にかけられた言葉かどうか
わからず、ただじっとしているだけだった
ししばらく待つと、誰かが近づく音がして
猿ぐつわと目隠しが外された
(眩しい…!)
光と視線を避けるように俯けば、頭上から
先ほどの声がかけられる
「お前、奴隷か」
「……… はい」
少しためらった後、アイリスは肯定する
「…おい、顔を上げろ」
光に目も慣れ、おずおずと顔を上げ
目の前の男を見上げた
(白髪…赤い、眼……)
「ーーッッ!」
アイリスが顔を上げた瞬間、白髪の男は
目を見張り息を飲んだ
『似ている…あいつに なにもかも…』