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妖精王は軍人に奪われる
第2章 冷たい瞳
白髪の男は頭の中に記憶が思い起こされたが
すぐに頭の外へ押し出し、アイリスを
眺めだした
アイリスは何か粗相をしてしまったかと
訝しんだが、行動を思うになにも
していないのだと自答する
「お前……人間じゃないな」
我に返った白髪の男はアイリスを
くまなく眺めると、背に見える羽を
見つけ言った
(人じゃないから、なんだと
言うのでしょう?)
心の内で思ったことは喉の奥に押し込み
肯定の意を告げる
「……ふむ 本来帝国の法により
奴隷商と関わった者は死刑
奴隷とて例外ではないが…」
どちらにせよ死ぬのだ、と自らの
運命を受け入れたアイリスは
その言葉に動じることなく男を見据えた
男はその視線から逸らすこともなく、
眼を細めてアイリスを見つめる
一呼吸おいて、男がニヤリと笑い出す
「ーーククッ、自らの死すらも
臆せず見据えるか 面白い」