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妖精王は軍人に奪われる
第2章 冷たい瞳
「…だが、」
メアは熱い視線を送りながらも
それを押し留めるように口を開いた
「今日は、既に日も落ちている
お前…アイリスも疲れただろう
そこの壁に扉があるだろう、あの
扉は隣の部屋に通じている そこを
お前の私室にしよう」
廊下に面している扉とは別の扉を
指差した
「ありがとう…ございます」
フン、とメアが鼻を鳴らし立ち上がる
その姿を見ていると、メアはこちらに
振り向いて手を差し出した
きょとんとして手を見つめると
メアが溜め息をした
「……掴まれ、その靴では立ち上がるのに
不便だろう」
確かに、森で暮らしているのとは違う
踵の高い靴を履いている
アイリスは差し出された手を取り立ち上がる
「ありが…」
「礼などいらん、当然のことだ」
再び感謝の言葉を言おうとしたアイリスを
遮り、メアはそう言うと手を離した