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妖精王は軍人に奪われる
第1章 残酷な運命
数十分程したとき、アイリスは違和感を
覚えゆっくりと身体を起こした
森が妙にざわめいている…?
くりくりとした目を少し細めて、
集中しはじめる
すでに辺りから動物達の姿はなく
静まり返った森は不気味さを帯びている
違和感の正体を掴むために木々の囁きに
耳を傾ける
『イタイ。イタイヨーー…』
小さな、だが確かに聞こえた悲鳴に
アイリスは顔を上げ、その声の方向に
走り始める
ー私も御婆様みたいに飛べたらいいのに!
心の中で歯噛みしながら、やや背の高い
草を軽々と飛び越える
まだ30cm程しかない羽はアイリスの
体を支えて飛ぶには小さく
また、聖なる癒しの技を使うとき
術者の想いの力に呼応して成長すると言われ
まだ生まれて18年のアイリスは
妖精としても妖精王としても未熟そのものである