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妖精王は軍人に奪われる
第4章 不完全な存在
「実験…」
アイリスが苦々しく呟く
「心配ない、とうの昔にその研究は
禁忌とされている」
「でも、メア様…」
目の前の人には遠い過去のことだと
分かっていても、アイリスは嘆かずには
いられなかった
「話を戻そう。天壊種の因子を取り込んだ
俺の身体は、最初こそ拒絶反応があった
ものの すぐに馴染んだ」
す、と突然メアが立ち上がり、仕事机の方に
歩いていく
「研究が廃止され、軍に保護されて
55番部隊に所属した。
それから…18の時だったか、俺は
心臓を貫かれ、倒れた」
アイリスは苦しげに顔を歪ませ、しかし
何も言わずに先を促した
「しかし、因子を取り込んだ俺の身体は
自己回復し…一命を取り留めた」
メアは机の上に置いてある小刀に
目を走らせ、手をおいた