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妖精王は軍人に奪われる
第4章 不完全な存在




「だからって、自らを傷つけて
良い理由にはなりません!!」



自分でも驚くような大きな声で
アイリスは叱咤する


メアも目を見張り、呆けたように
アイリスに視線を向けた


「傷ついても良いなんてことには…っ
なりません…!」


目からじわりと涙が溢れ、泣きながらも
自分を見ているメアを見つめ怒る


「…すまない、お前の言うとおりだ…」



泣いているアイリスに血が付かぬよう
片腕で抱き寄せ、自らの胸元に
しまい込むとアイリスは嗚咽しながらも
安堵から溜め息を漏らす


(…っなぜ、私はメア様に抱かれて
安堵しているの…?)


「…ハァ…やはり、同じ反応をするか…」



「…同じ、とは…?」


聞こえた呟きに反応すると、メアは
アイリスを見下ろして抱く力を強くし
答える


「忘れろ、関係のないことだ」


その言葉に心の奥がチクリと痛むが
アイリスはその感覚が何故なのか
まだわからなかった



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