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妖精王は軍人に奪われる
第4章 不完全な存在
『アルマも、泣いて怒っていたな…』
メアの頭の中にはやはり、アイリスと
同じ姿の少女が泣きながらも怒っている
様子が思い起こされていた
そのときは戦で怪我をしたのを見て
怒っていたな、とメアは口の端を
少しだけ上げる
ふと、先程辺りに漂った光を思い出す
「…おい、先程の光は何だ」
腕の中にアイリスを捕らえたまま
声をかけ、胸に顔を埋めている妖精に問う
「ええと、癒しの魔法です」
顔を上げて返事をすると、それが
どうかしたのですか?とでも言うように
じっと目を見つめる
「ふむ、そうか 治癒の魔法は
初めて見たな」
『あいつが使ったところは見たことが
なかったからな…』
そこまで考えて、すぐに心の中で自虐する
『…アルマはアルマ、こいつはこいつだ
前にも自身に言い聞かせたはずだ…
なのに何故、いつの間にか重ね合わせて
いるんだ…』
それほどまでに忘れられないか、と
苦笑すると、部屋の扉をノックする
音が耳に入る