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妖精王は軍人に奪われる
第4章 不完全な存在
「え、と そうですが…どうして」
「長らくお仕えしているから…ですかな
メア様にとっては一瞬なのでしょうが」
にっこりと答えながらてきぱきと
敷物を交換していく
「そんなことは…きっとないと思います」
「あの方は、自身を人よりも不完全な
人だと仰る」
「…?」
血痕を拭き取り、別の敷物を敷きながら
ファルコは話し出す
「"死"が見えぬ故に、生を感じない。
屍のような心地でいるが故に人よりも
不完全だと、考えておられる」
ファルコがこちらを見、静かに腰を折って
頭を下げた
「なにを…」
「アイリス様、貴女様はアルマ様によく
似ておられる。メア様が失われた
心も…貴女様ならば取り戻せると思われます
どうか…あの方を、よろしくお願い
申し上げます」