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妖精王は軍人に奪われる
第1章 残酷な運命
…大いなる大自然よ、火に焦がされ苦しむ
仲間達のために力を貸し賜え…
木々がざわめき、空気が揺れる。
アイリスの意識の中で、遠くの湖が
波打つのが感じ取れた
…力を貸し賜え、泉の精よ
我が名は妖精王アイリス…!
刹那、湖の方向からたくさんの水を
打ち付けたような音が響く
「こちらに!」
両手をゆっくりと上げると、キラキラと
反射するものが浮き上がる
アイリスは少し息を吸うと、上げた手を
素早く振り下ろした
「うわ!!な、なんだ!なにがおこった!」
たくさんの水が水滴となって降り注ぎ、
火を鎮め木々を癒やす
突然のことに狼狽した男の声を
耳にしながら、アイリスは全ての水滴が
落ちるまで待った