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妖精王は軍人に奪われる
第4章 不完全な存在
「さて…私はお先に庭へ向かいます
メア様、鍛練はあと15分後に開始ですよ」
そう言うと、ファルコは部屋から退出した
『…あの香りは、確かフリージアでしたかな…
花言葉は純潔…』
歩きながらファルコは嬉しそうに笑う
『ほっほ、アイリス様は純粋な方
なのですな』
これはきっと大丈夫そうだ、と
歩きながら頷いた
*****
「め、メア様、あの…っ」
ファルコが居なくなってからもずっと
抱きすくめられたままで、アイリスは
狼狽しながらメアを振り仰ぐ
「…しかし、甘い香りだな」
少し屈んで、メアはアイリスの耳元や
首筋に鼻を寄せる
「メア…様…っ」
アイリスは耳元にかかる吐息に身体を
震わせ、足に力を込めてなんとか立っている
「そういえば…」
不意にメアが身体を離すと名残惜しく
なってしまいまた戸惑うも、きっと
頼れる人がメア様しかいないから
こんな気持ちになるんだ、と
思い話を聞くことにした