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妖精王は軍人に奪われる
第5章 淫靡な一時
「………?」
その様子を眺めていたメアはすっと目を
細めると、不愉快な心持ちを表に出さぬ
ようにそのまま立ち上がって私室へと
姿を消してしまった
1人あてがわれた部屋に取り残されたアイリスは
消していた羽を再び背に具現化させると
はたと動かし、花の香りを漂わせる
視線を空にさまよわせたまま、しばし
ぐるぐると考える
ずっと、どこか上の空でいたまま時を過ごし
とうとう就寝時間になってしまった
食事の時もメアはアイリスを見つめていたが
それに気づかずに悩み通していたのだ
「……入るぞ」
静かな空に低く音が響き、扉が開いて
着崩したメアが入ってくる
ベッドに座っていたアイリスは顔を向けた後
上に上がってメアの座る場所をあける
「っ!」
しかし、メアはアイリスを抱き腕の中に
しまうと何も言わずに横になってしまった
暖かい腕の中、落ち着いた吐息にいつしか
アイリスはまぶたを降ろし、寝息を立てていた