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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
押し切られた…

今までこんな風に、勢いで迫られた事がなかったから、上手い躱しかたもわからなかった…

とりあえず立ち話も目立つから、どこかで座ってお茶でもしよう、となったけど。
近場のカフェは会社の人に見られる可能性も高いし嫌だった。
ユキムラくんのお家は西宮の夙川のあたりだそうで。私は豊中だから、同じ阪急沿線ではある。阪急梅田近辺ならお店もヒトも多いから、と、ひとまず移動した。

手近なカフェに入り、お互いの情報交換をする。
ユキムラくんの名前は、幸村順一、と書くらしい。

「幸せの村、で幸村。真田幸村の幸村。」

と言われたけど、それが誰だかわからなくて反応しなかったら、

「知らないか。戦国武将なんだけどね」

と笑った。うん、知らない。
神戸にある私大の2回生。関西圏の人間なら聞き覚えはあるだろう大学だった。
偏差値とかはよく知らないけど。

私は、24歳で実家暮らし、仕事は事務職だと教えた。

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