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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
てっきり地方から出てきて単身者用のマンションとかアパートに住んでるんだと思ったのに。
初めてお邪魔した幸村くんの家は、立派な一軒家で。

「え?…本当に、ココで一人暮らししてるの…?」

「そうだよ。」

何だろう、住む人のいなくなったおじいさんおばあさんの家とか?
ご両親が、海外赴任で1人日本に残ってるとか?
一瞬で色々考えた。

「…ココって…ご実家…?」

「…そうだけど?」

「あの、ご家族って…」

「いないよ。」

「いない、の…?」

玄関の鍵を開け、私を中へ誘いながら。

「両親が離婚して父親が出て行った。母親は、半年前に亡くなった。」

「…ご兄弟…とかも?」

幸村くんは寂しそうに笑って。

「弟が居たけど。2年前に亡くなったんだ。」

私は、言葉を失った….
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